【Netflixおすすめ】『ブラックミラー』シーズン1ネタバレ感想|海外版・世にも奇妙な物語
クオリティの高いオリジナル作品が多いNetflix。
ドラマ『ブラック・ミラー』も文句なしの完成度でした。
1話完結型で奇抜な設定という類似点から、海外版『世にも奇妙な物語』ともいえる本作。
星新一のショート・ショート好きな筆者としては好みのテイストでした。
(結構ダークなので観る人を選ぶ作品ではありますが妙に病みつきになる魅力があります)
本記事では、そんな『ブラック・ミラー』シーズン1の感想を書いていきます。
ネタバレありなので、まだ観ていない方はご注意ください。
第1話『国歌』
あらすじ(ちょいネタバレ)
王室の令嬢が誘拐され、犯人からのビデオメッセージが首相の元に届きます。
犯人の要求は、「首相が豚と性行為をする様子を全国放映すること」。
替え玉や合成ができないよう撮影方法まで指定されています。
首相は側近と対応策を練りますが、だんだん追い詰められていき・・・
感想(ネタバレ有)
「世間の風潮」という無責任で実態の無いものが、悲劇を生んでしまった話なのですが、けっこうな問題作。特にラスト。
首相を始めとする参謀は、「世間の風潮」を読んで犯人の要求に応えるか否か検討します。
一方で、民衆は事件の断片から判断して各々の考えをSNSに吐露。
その呟きに根拠も責任も強い理念も無く、本人にとってはただの「呟き」なのだが、それに翻弄される国家。
そんな様子を「おかしい」とは感じますが、近年では、SNSにおける「実態がわからぬ誰かの発言」の集合体が世間に大きなインパクトを与えるということも多いので、このドラマを架空の出来事として割り切れない複雑な気持ちになりました。
実態の無いものに判断基準を置くという怖さ。それをヒシヒシ感じました。
こんな話ありえないけど、「現実的じゃない」とは言い切れないところがコワい・・。
ラストはなかなか嫌な気分になりました。
あのラスト以外に納得いくオチは無いし、心のどこかでは期待してしまう部分もあるものの、やはり胸クソ悪いラスト。
まさに、中継を観る国民と同様の反応をしてしまいました。
だんだんと逃げ道を塞がれて追い詰められていく首相の様子を観ていて悲しくなったし、ラストも辛かった・・。
一連の事件で「逆境にも負けない首相」として逆に人気を得た首相だったが、夫婦関係は事件のせいで冷めきってしまった・・というなんともやりきれない結果。
事件のことを芸術とかのたまう評論家が出てくるとかリアルにありそう。
1人で観ていたからまだよかったのですが、誰かと一緒に観ていたら相当気まずい雰囲気になっていただろうと思います。
第2話『1500万メリット』
あらすじ(ちょいネタバレ)
全てがシステム化された閉鎖環境で暮らす人々。
ロードバイクを漕ぐことで仮想通貨を獲得でき、それを使って生活をしています。
(デブはカーストが低く、蔑まれている。)
ロードバイクを漕いでいる間も、部屋で過ごしている時も、常にスクリーンで動画が配信されいます。(突然広告動画が差し込まれる様子はまるでYoutubeのよう)
自分の番組を持つ人は、豪華な生活ができるのですが、番組を持つにはオーディション番組に出場して動画界の大物に認められる必要があります。
(スーザンボイルで有名な海外オーディション番組に激似)
そんな世界で生活をする1人の青年。
味気ない生活を無気力に過ごす中で、ある日、綺麗な歌声を耳にします。
その歌声に感動した青年は、歌声の持ち主の女性にオーディション番組のチケットをプレゼントするのです。
女性は夢と希望を持ってオーディション番組に臨みますが、青年の想いとは全く別の方向に事態が進んで行き・・
感想(ネタバレ有)
本作もなかなの問題作でした。論点テンコ盛り。
まず、四六時中動画を観ている人々が完全に思考停止しているんですよね・・。
果てには、人間さえもエンタメの対象として扱う。
画面の向こうにいるのは同じ人間なのですが、その意識が限りなく薄い。
判断基準は「面白いか否か」。
面白けりゃ煽るけど、結果に責任は持たないという群集心理の恐ろしさを第1話に引き続き感じました。
コレは過激化するYoutubeを連想させられました。
面白みがない単調な日々を生活していくには、エンタメによる刺激と思考停止が必要なのかもしれませんが。
抑圧された世界で生きる人々の不満のはけ口として、カーストが設けられているのだと思います。
これは見ていて不快でした。
(でも容姿を馬鹿にして笑いを取るような番組が現実にも存在するので、複雑な気持ちになりました。個人的にはそういう番組は笑えない。)
一方、綺麗な歌声を持つ女の子が、オーディション番組を通じて結果的にアダルト番組への出演を承諾してしまう様子はAV強要を連想しました。
金の事しか考えていないハゲタカが、金の卵に群がって金を生み出すよう誘導する様子をオーディション番組を通じてわかりやすく描いていましたね。
審査員の大物たちが己の利益のために対象の心を潰す様子や、無責任に煽る群集。
どちらも超胸クソ悪かったです。
このエピソードでは、「本物の才能」が商業化で「ニセモノ」になってしまった瞬間が2つ描かれています。
1つは前述の女性。
もう1つは女性にオーディション番組のチケットをプレゼントした青年です。
青年は自分が見つけた「本物」が「ニセモノ」になってしまったことに強い憤りを感じ、自分もオーディション番組に出場して不満をぶちまけます。
ですが、青年の鬼気迫る主張を審査員は「パフォーマンス」として捉え、またもや商業化します。
青年に番組を与えるのです。
結局、青年は信念や主張よりも利権を選びます。
オーディション番組のステージに上がった時点では本物だった何かがニセモノに変わってしまった哀しさを感じました。
商業化することで失われてしまう何かってありますよね。
「こうして世界の不条理は何一つ変わらない」と、やりきれなさや無力感を感じる作品でした。
第3話『人生の軌跡のすべて』
あらすじ(ちょいネタバレ)
自分の記憶をすべて録画・再生できる機器を体に埋め込むことができる世界の物語です。
記憶の再生は、面接・恋愛・結婚・友人関係すべてに大きな影響を与える・・
感想(ネタバレ有)
記憶の録画・再生・共有ってちょっとアニメ『攻殻機動隊』の電脳っぽいなと感じました。
・保安検査で直近2週間分の記憶を提示
・面接で記憶を提出
・友達と記憶をプロジェクターに投影して鑑賞する
・記憶の録画から浮気を解析する
って発想が面白い。
こんな機械があったらバカ売れするだろうけど、超監視社会になるし怖いですね。
犯罪も浮気もできないクリーンな世の中になるかも。
浮気の追及やりすぎだろ・・と思ったけど、記憶で録画・再生・分析できちゃうのであればのめりこんじゃう気持ちもわかります。
お見合いとかの時に判断材料として記憶を見せ合ったりするのかな・・。
幸せな記憶の中にいつまでも浸っていたくなってしまう状況とか、ハリーポッターの「みぞの鏡」を思い出しました。
一方で、人間の記憶構造とは、つくづく良くできているな・・と思いました。
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